研究用試薬エコロジーナ
非イオン界面活性剤 高感度AE ELISAキット

■AEとは

近年、非イオン界面活性剤の生産量は陰イオン界面活性剤と同程度にまで増加しています。アルコールエトキシレート(AE,POER)は代表的な非イオン界面活性剤のひとつであり、家庭用合成洗剤に配合されるなど特に生産量が増加しています。AEの生分解性は比較的良好ですが、起泡性が強く、水道水質の管理上、監視の必要性が指摘されています。水道水中の非イオン界面活性剤の水質基準は、平成15年5月の「水道基準に関する厚生労働省令」改正により「0.02mg/L以下であること」と定められています。
本品は、酵素免疫定量法により、環境水中のAEを高感度かつ簡便に測定できるキットです。


構造式

(参考)非イオン界面活性剤の測定法
環境水中の非イオン界面活性剤測定法として、厚生科学審議会答申「水質基準の見直し等について」には、固相抽出−吸光光度法(PAR法)が収載されています。この方法は、AEとアルキルフェノールエトキシレート(APE, POEP)の総量を測定する方法であり、AEとAPEの分別定量はできません。また、煩雑なクリーンアップ、有害な有機溶剤(トルエン)による抽出操作が必要なほか、酸化エチレン鎖(EO鎖)長による感度のばらつきなどの問題が指摘されています。

■キットの特長

  • モノクローナル抗体を使用しているため、製造ロット間で抗体性能にばらつきがありません。
  • 定量範囲は 3〜150μg/L(30%メタノール溶液中AE濃度)と高感度で、環境水中のAEを特異的に検出・測定できます。試料の前処理によりさらに高感度になります。
  • 測定値のCV(変動係数)は10%以下で、ばらつきが少なく、高精度です。
  • 有機溶媒の使用量を削減できます。
  • 試料の調製から定量まで2.5時間で測定が完了します。(試料の前処理を行う場合は約4時間)
  • APEキットとの併用により、POE型非イオン界面活性剤の総量を測定できます。


■AE測定用標準曲線

定量範囲:0.02〜1mg/L
定量範囲内濃度の試料はろ過だけで測定することができます
測定範囲外濃度の試料はろ過後、希釈あるいは濃縮操作(固相抽出)が必要になります。
測定値のCV(変動係数)は10%以下で、測定のばらつきが少なく、高精度です。
注) 測定試料により固相抽出等による濃縮、クリーンアップが必要な場合があります。

■試料の前処理法(簡易固相抽出)

【AE前処理法(例)】

濁りのない試料 メタノールを添加し、10%(V/V)メタノール溶液とし、これを検液とします。
濁りのある試料 ガラス繊維ろ紙上で濾過し、ろ紙上の残渣は試料量の10%のメタノールで洗浄します。洗浄液をろ液に合わせて10%(V/V)メタノール溶液とし、これを検液とします。
AEが低濃度の試料 上水試験方法(2001)に準じ、溶出溶媒にメタノール、固相カラム(Isolute MM 300mg)を用いて濃縮し、検液とします。概略の方法は下記の通りです。
   
 
1) 固相カラム(Isolute MM 300mg 3mL International Sorbent Technology製)のコンディショニングを行います。
(1)アセトン5mL、メタノール5mLの順に通液します。
(2)30%メタノール水溶液10mLを通液します。
2) 試料は吸着を防ぐため、あらかじめメタノール30mLを入れた容器に70mL採取し、30%メタノール試料とします。
3) 固相カラムに加圧、または吸引により試料を43mL通液します。(水試料として30mL分になります。)
4) 30%メタノール水溶液10mLでカラムを洗浄し、吸引により水分を除去します。
5) メタノール2mLを用いて固相からAEを溶出します。目盛り付きの受器に受け、メタノールを約0.2mL加え2mLにします。
6) 試料の添加忘れを防止するため、AE溶出液と「B試料着色液」を10:1で混合します。

■抗AE抗体の交差反応性

各種AEに対する交叉反応性(%)

他の界面活性剤に対する交差反応性(%)
化合物 交差反応性(%)
非イオン界面活性剤
 AE(C12EO7) 100
 Nonylphenol Ethoxylate (NP10EO) 0.1
 Polyethylene Glycol (10EO) <0.1
 Polyoxyethylene sorbitan (20)
monolaurate (Tween-20)
2.0
陰イオン界面活性剤
 Alkylether Sulfate (AES) 13
 Sodium Dodecyl Sulfate (SDS) 1.1
 Sodium Laurate 1.1
 Sopdium Myristate 0.51
 Sopdium Palmitate 0.33
 Sopdium Stearate 0.22
 Linear Alkylbenzene Sulfonates(LASs:
 C9-C13)
<0.1
陽イオン界面活性剤
 Hexadecyltrimethyl Ammonium
 Chloride
<0.1

抗AE抗体はアルキル鎖長10〜13のAEに特異性が高く、APEなど他の非イオン界面活性剤にはほとんど反応しません。
また、石けん類やアルキル硫酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤と若干交差反応します。

注) 図中空欄部分については、標準品の入手が困難なため、データを取得していません。

■キット形態

形 態 容 量 特 徴 コード
マイクロプレート 96穴、1枚 プレートリーダーで測定、多検体同時処理が可能 300-33281

・本キットは研究用試薬であり、疾病の診断またはその補助として使用することはできません。