研究用試薬エコロジーナ
エストロゲン (E1/E2/E3) ELISAキット
研究用試薬

女性ホルモンである17β-エストラジオール(E2)は、内分泌攪乱作用が示唆されている代表的な化学物質に比べて約103-104倍のエストロゲン活性をもつといわれており1) 、現在、河川および下水における実態調査の測定対象となっています。
一方、環境中にはE2以外にも比較的活性の高いエストロゲンが存在し、例えば、ニジマスを用いたビテロジェニン生成試験において、エストロン(E1)はE2の0.2〜0.5倍程度の活性を有しています 2)
下水処理場放流口付近ではE2の約5〜20倍濃度のE1が検出されており3) 、総エストロゲン活性におけるE2以外の女性ホルモンの寄与も、今後無視できない問題になると考えられます。
本品は酵素免疫測定法(ELISA法)により、エストロン、17β-エストラジオールおよびエストリオール(E3)の総量を高感度かつ簡便に測定できるキットです。4)

■キットの特長

  • モノクローナル抗体を使用しているため、製造ロット間で抗体性能にばらつきがありません。
  • 環境水中のエストロン(E1)、17β-エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)の総量を特異的に検出できます。
  • 定量範囲は0.05-3μg/L(ppb)と高感度で、固相抽出によりさらに低濃度の試料も測定できます。
  • 測定値のCV(変動係数)は10%以下で、ばらつきが少なく、高精度です。
  • 有機溶媒の使用料を低減できます。
  • 測定試料の調製から定量まで2.5時間で完了します。
  • 標準液が所定濃度に設定されており、希釈操作が不要です。
  • 簡単な操作で多検体を同時に処理できるため、経済的です。

■エストロゲンの構造

エストロゲンの構造


■標準曲線

標準曲線

■前処理法 こちら(PDF)をご参照ください。

■LC/MS/MSとの相関/テストデータ

LC/MS/MSとの相関
  E1+E2 (ng/L)
Sample LC/MS/MS ES ELISA Kit
A 2.08 3.75(1.8)
B 4.25 5.36(1.3)
カッコ内の数値はLC/MS/MSデータとの相対比を表す。

河川水を用いた添加回収実験 (n=4)
  ES ELISA Kit
無添加
 定量値(平均)(ng/L) 12.4
 変動係数 (%) 6.5
2ng/LE2添加
 定量値(平均)(ng/L) 14.4
 変動係数 (%) 9.2
 回収率 (%) 100.0

■交差反応性

エストロゲン類
物 質 交差反応性(%)
ES ELISA Kit
Estron (E1) 87.0
2-methoxy E1 <0.03
E1-3-sulfate <0.03
17β-Estradiol (E2) 100.0
16-keto E2 118.0
2-methoxy E2 0.2
E2-17-glucronide 5.0
E2-3-glucronide <0.03
E2-3-sulfate-17-glucronide 0.5
Ethynylestradiol 0.7
Estriol (E3) 55.0
16-epi-E3 129.0
E3-16-glucronide 48.0


その他 ホルモン類
物 質 交差反応性(%)
ES ELISA Kit
cis -Androsterone <0.03
trans -Androsterone <0.03
Cholesterol <0.03
Dehydroisoandrosterone <0.03
5α-Dihydroteststerone <0.03
Hydrocortisone <0.03
Pregnenolone <0.03
Teststerone <0.03

■キット形態

形 態 容 量 特 徴 コードNo.
マイクロプレート 96穴、1枚 プレートリーダーで測定、多検体同時処理が可能 302-33241


【参考文献】
1) 西村哲治、埴岡伸光、神野透人、安藤正典、金子裕美、武田建、西川淳一、西原力 (1999) 酵母Two-Hybrid System法によるフェノール類のエストロゲン様活性の検討、33回日本水環境学会年会講演集、pp. 179.
 
2) Routledge E. J., Shbahan D., Desbrow C., Brighty G. C., Waldock M. and Sumpter J. P. (1998). Environ. Sci. Technol., 32(11), 1559-1565.
 
3) 辻村和也、田嶋晴彦 (1999) 環境中天然由来化学物質の測定法についてーLC/MS/MSによる環境中17βエストラジオール分析法の開発ー、化学品検査協会創立50周年記念講演会及び第4回研究発表会講演要旨集、pp.17-26.
 
4) 郷田泰弘、小林綾子、福田勝二、藤本茂、池道彦、藤田正憲 (1999) ELISA法によるエストロゲン新規測定法の開発、日本内分泌攪乱化学物質学会 研究発表会―内分泌攪乱化学物質調査研究の進展と課題―要旨集、pp.49-50.


・本キットは研究用試薬であり、疾病の診断またはその補助として使用することはできません。